メニエール病の原因や症状、治療

メニエール病とは

自発作で、突発的な、反復して起こる激しいめまい発作に、蝸牛症状(耳閉塞感、耳鳴り、難聴など)をともなう内耳性のめまい疾患がメニエール病です。

 

脳神経の病気でもメニエール病に似た症状がおこりますが、メニエール病では、意識消失、手足のしびれなどの脳神経症状はなく、直接生命にかかおることはありません。

 

・病気になりやすい人 

メニエール病は、文明の発達した地域で高率に発症し未開発地域では発症が少ないことから、文明病の1つと考えられています。 日本でも、第二次世界大戦以前はほとんど発症がありませんでしたが、戦後、急激に増加してきました。

 

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メニエール病の症状 

めまい

メニエール病におけるめまいは、内耳の機能障害によっておこります。突然、回転性のめまい(自分自身または周囲がグルグル回る)が自発的におこります。 

 

めまいの性質は、発作の時期によって異なり、回転性だったり、浮動感、動揺感、からだの沈む感じや傾く感じなど多彩です。 

 

めまいの持続時間は、一時間から六時間以内のことが多く、最初の数分から数時間は、非常に強い回転性のめまいが続きます。

 

 

蝸牛症状

メニエール病における蝸牛症状は、耳鳴り74%、難聴60%、耳閉(塞)感30%、音響感(音が異常に強く響く感じ) 10%という頻度で、めまい発作にともないます。 

 

難聴は、片側におこることが多く、低音部から中音部にかけて障害が強い内耳性感音難聴です。耳鳴りや難聴は、めまいが治まると発作前に近い状態にまで回復しますが、頻回に発作をくり返すうちに、難聴は回復しなくなります。

 

また、発作のおこっていない時期でも、聴覚の程度が変動します。

 

 

その他のメニエール病の症状

 発作時には吐き気・嘔吐、頭痛、頭重感、肩こり、くびのこりなどの自律神経症状をともないます。

メニエール病の原因

内耳は、側頭骨というかたい骨に囲まれ、入り組んだ骨の管の中にあって、迷路とも呼ばれます。

 

内耳には、音をつかさどる感覚細胞を入れた蝸牛と、平衡感覚をつかさどる感覚細胞を入れた前庭とかありますこれらの感覚細胞は、薄い順によって迷路の骨の管と隔てられています。

 

骨と膜との間は外リンパ、膜の内部は内リンパという液で満たされていて、感覚細胞は内リンパの中に存在します。メニエール病は、内リンパ水腫(内耳の水ぶくれの状態)によっておこります。 

 

内リンパ水腫がおこると急激に内リンパ圧が上昇し、その変動が蝸牛から前庭へと波及してメニエール病がおこると考えられています。 

 

内リンパ水腫は、内リンパの産生過剰や循環障害、または吸収障害でおこると考えられていますが、確かなことはまだ不明です。

 

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メニエール病の検査と診断

耳鳴り難聴、耳閉感をともなうめまい発作がくり返しおこる典型的なケースであれば、メニエール病の診断は容易です。 

 

しかし、発作が初めての場合や典型的なメニエール病の症状を示さない場合は、聴力検査と平衡機能検査がたいせつになります。

 

聴力検査

 メニエール病の場合は、中音部より低い音域に障害がおこる低音障害型の感音難聴が特徴です。 

 

低音障害型感音難聴がおこっても聞こえの悪さに気づかないことが多く、耳閉(塞)感や耳鳴りがおもな訴えになりますが、聴力検査を行なうと低音障害型の感音難聴が認められます。 

 

発作直後から聴力検査を続けていくと、時間の経過とともに聴力は徐々に回復していき、発作前の聴力に戻るほか、耳閉(塞)感、耳鳴りも消失するか軽減します。

 

しかし、発作をくり返すうちに聴力は進行性に低下していき難聴が全音域に及びます。 

 

メニエール病の診断を確定するには内リンパ水腫の存在を調べるグリセロール試験という検査が行なわれます。 

 

内リンパ水腫が存在する場合は、利尿剤の作用で内リンパ水腫が消退し、内服後の聞こえがよくなります。

 

 

平衡機能検査

この検査を行なうと、内耳障害が原因の平衡機能障害は見つかりますが、メニエール病特有の所見は現われません。

 

平衡障害は発作がおこっているときにもっとも強く、発作が治まるにつれて消失していきます。

メニエール病の治療

メニエール病は発作をおこしたときの治療と発作をおこしていないときの治療とがあります。

 

発作をおこしたときの治療

 メニエール病の発作をおこしたときは、激しい回転性のめまいと吐き気・嘔吐などの自律神経症状が強いので、安静を保つことがもっともたいせつです。 

 

そして、自律神経を安定させるために鎮静剤、鎮吐剤(吐き気止め)、めまい止めなどを服用します。

 

発作のおこっていないときの治療

 内リンパ水腫が発生しないように浸透圧利尿剤を服用します。薬物療法によって多くはメニエール病の発作の予防などのコントロールが可能です。メニエール病の発作をたびたびくり返したり、急速に聴力が悪化する場合は、手術が必要になります。

 

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