紅皮症とは
全身の皮膚が、ほぼ全面にわたって赤くなる（潮紅）のが紅皮症で、たいていは、ふけのようなものが皮膚につき、むけてきます。
紅皮症が単独でおこることはなく、病気に引き続いて発症します。おこりやすいのは40歳以上の人です。それも男性が女性の2〜3倍、多くなっています。
病気のうち、もっとも紅皮症をおこしやすいのは、湿疹・皮膚炎で、これからおこったものを湿疹性紅皮症といいます。
おとなにおこりやすいのですが、アトピー性皮膚炎の場合は、子どもでも紅皮症になることがあります。ついで多いのは、乾癬からおこる乾癬性紅皮症、薬疹が進行悪化しておこる紅皮症です。
紅皮症の症状
症因となる病気の病状が安定していても、ちょっとしたことで急に紅皮症がおこってくることがあります。 皮膚が鮮紅色になり、数日のうちに全身へと広がっていきます。
そのうちに皮膚がガサガサとなり、ふけがついたようになります。この鱗屑が、ぬかや本の葉のような形ではがれてきます（落屑）。
皮膚にむくみ、熱感（ほてり）、強いかゆみがみられます。また、発熱、寒け、全身の倦怠感をともないます。尿が出にくくなることもあります。
紅皮症の治療を受けないでいると、数週間のうちに頭髪・体毛が抜けたり、爪が変形して厚くなり、抜け落ちることもあります。皮膚表面近くの多数のリンパ節も腫れてくるのがふつうです。
紅皮症の治療
治療だけでなく、原因の精査のためにも入院が必要です。 紅皮症をおこしている皮膚に副腎皮質ホルモン（ステロイド）軟膏を塗り、かゆみ止めの抗ヒスタミン剤を内服するなど、皮膚症状に応じた紅皮症の治療を行ないます。
血液検査で、電解質の異常や低たんぱく血症がみられた場合は、これらを正常にするために輸液（点滴）が必要になります。
紅皮症の再発をくり返す場合や、副腎皮質ホルモン軟膏を外用しても効果のない場合は、副腎皮質ホルモンを注射や内服で用いますが、紅皮症は治まっても医師の許可が出るまでは、使い続けることが必要です。
副腎皮質ホルモンは、使用量を徐々に減らしていって、ゼロにするのが原則なのです。 薬疹による場合は、原因となった薬の使用の中止が必要です。 通常の治療に抵抗性の場合は、背景に悪性腫瘍がかくされていることがあるので要注意です。