慢性白血病とは
徐々に起こってくる白血病と慢性リンパ性白血病の二種類があります。慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病の比率は、約八対一となっています。
慢性骨髄性白血病
フィラデルフィア染色体という異常な染色体をもっか細胞が、成熟・分化しながら無制限に増殖する白血病です。 患者さんは、四〇〜五〇歳の人に多く、とくに男性に多くみられます。
慢性リンパ性白血病
体内に侵入した病原微生物と闘うなどの免疫学的なはたらきをもたない成熟小リンパ球が増殖して、全身の臓器に侵入する白血病です。 日本では少ない白血病です。白血病全体に占める割合は2〜3％にすぎません。
慢性白血病の症状
徐々に発症し、健康診断を受けた際などに、血液検査で白血球数が増えていたり、腫れている脾臓が触れたりして発見されることも少なくありません。
慢性骨髄性白血病では、からだがだるい、疲れやすい、体重減少、寝汗、上腹部の不快感などが現われます。胃潰瘍を合併していることも多いものです。また、ほとんどの人に脾臓の腫れがみられます。
慢性骨髄性白血病は、発症してからこれらの症状が現われるまでに、六〜八年ぐらいかかるといわれています。 慢性リンパ性白血病では、リンパ節の腫れと脾臓の腫れなどがおこってきます。
慢性白血病の検査
静脈から血液を採取して調べると、正常の場合では一立方ミリメートル中4000〜9000個である白血球数が著しく増加し、ときには１０万〜20万個にも増えています。
貧血は発症初期にはみられませんが、慢性白血病が進行してくるにつれて、現われてきます。 血小板数は正常なこともありますが、慢性骨髄性白血病では増加していることが多いものです。
慢性骨髄性白血病では、いろいろな成熟段階の白血球が血液中に出現し、染色体を調べると、フィラデルフィア染色体と呼ばれる二二番目の染色体の異常がみられることが、診断の有力な手がかりになります。また、血液中の好中球のアルカリホスファターゼが低下していることも、診断の助けとなります。
慢性リンパ性白血病では、成熟小リンパ球が増加します。骨髄穿刺を行なって骨髄液を調べても、同じ結果がみられます。
慢性白血病の治療
慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体をもつ細胞の増殖を根本的に抑える治療として、骨髄移植があります。
患者さんが四五歳以下で、血縁者に白血球抗原（ＨＬＡ）が適合する人がいる場合には、まず、骨髄移植が検討されます。
骨髄提供者骨髄を静脈から輸血する同種骨髄移植が行なわれます。移植後は、約一か月無菌室に入り、感染症や合併症の予防などの管理が行なわれます。
慢性骨髄性白血病の化学療法としては、ヒドロキシカルバミドやブスルファンという薬剤を長期間使用し、腫瘍細胞の増殖を抑える治療を行ないますが、根治はむずかしいものです。この治療は、外来通院で行なわれることもしばしばです。
また、最近では、インターフェロンの使用も行なわれます。 病気が末期になると、急性白血病と同じ症状になります。これを急性転化といいます。
慢性白血病が急性転化した場合、多剤併用化学療法を行ないます。 慢性リンパ性白血病では、抗がん剤のシクロホスファミドや副腎皮質ホルモンなどを用いて治療しますが、発病初期は、治療をしないで経過をみることも少なくありません。若い人には、骨髄移植が行なわれます。
慢性白血病の予後
診断確定後、慢性骨髄性白血病が急性転化をおこすまでの期間は平均3〜4年で、約九〇％の人は、急性転化後3〜6か月で死亡しますが、慢性期の骨髄移植によって約50％の人が長期生存しています。 一方、慢性リンパ性白血病の平均生存期間は、約五年といわれています。