慢性糸球体腎炎とは
子どもの慢性糸球体腎炎とは、糸球体に慢性的な変化、すなわち、もとにもどらない組織変化があるものをいいます。腎臓の細胞をとって調べる腎生検で、組織の変化や障害の程度を確認したうえで、いくつかの腎炎のタイプに分類し、それにより予後や経過が予測されます。 慢性糸球体腎炎は、糸球体に組織学的変化があるため、尿に赤血球やたんぱくが漏れ出てきます。 腎生検で組織を確認しなくても、血尿などの尿の異常が一年以上続いたときは、慢性糸球体腎炎と考えることもありますが、いずれにしろ治りにくい腎炎の総称であるといえます。慢性糸球体腎炎の症状 子どもによくみられる慢性糸球体腎炎の症状には、大きく分けるとつぎのようなものがあります。
lgA腎症
糸球体の血管と血管の間にあり、たいせつなはたらきをしているメサンギウム細胞が増殖し、かつ免疫にかかわるたんぱくの一つである免疫グロブリンが沈着している慢性糸球体腎炎を、lgA腎症といいます。 この病気は、組織の障害度によって予後はさまざまです。放っておいても2〜3年でよくなるものから、ゆっくり腎不全へ進行するものまであります。学校健診時の検尿で見つかる慢性糸球体腎炎の30〜40%はこのタイプといわれます。かぜをひいたときに突然、尿の状態が悪くなり、肉眼的血尿発作をくり返すことも特徴です。有効な治療法は確立されていませんが、腎炎一般での治療に準じて、ステロイド、免疫抑制剤、抗凝固剤、抗血小板剤が用いられています。 子どもの場合は、おとなとちがって、ゆっくり自然によくなっていくことが多いといわれています。
膜性増殖性糸球体腎炎
びまん性に(広い範囲にわたって)、糸球体毛細血管壁の肥厚とメサンギウムの増殖を示す慢性糸球体腎炎で、予後は悪いと考えられていましたが、最近、ステロイドや抗凝固剤が有効なことが確かめられつつあります。組織学的重症度の低い巣状型もあることが知られています。
膜性腎症
たんぱく尿がおもな症状で、ときにネフローゼ症候群の型で現われることの多い慢性糸球体腎炎です。 賢不全に進むことはないか、まれにあってもゆるやかなので、ネフローゼ症候群を示さないときは、治療せずにようすをみることもあります。
巣状糸球体硬化症
難治性のネフローゼ症候群を呈し、比較的短い経過で賢不全におちいりやすい腎臓病です。残念ながら、現在、確実といえる治療法はありません。