慢性関節リウマチとは
慢性関節リウマチとは、全身の免疫の異常にともなって関節に炎症がおこり、関節の腫れや痛みが生じるとともに、徐々に進行して、長い年月ののちには、関節が変形して重大な機能障害をひきおこす病気です。
慢性関節リウマチは、家事や育児にいそがしい年代の女性に多く、社会的な影響も大きい病気です。リウマチというと、からだのふしぶしが痛む病気というふうに、漠然ととらえられることが多いようです。
実際に、そういう病気をまとめてリウマチ性疾患といいますが、多くの種類があります。 このなかで、慢性関節リウマチは代表的な病気であり、狭い意味でリウマチともいわれる病気です。
ここでは混乱を避ける意味で、リウマチとはいわず、慢性関節リウマチに統一して呼び、この病気について解説します。
慢性関節リウマチの原因
慢性関節リウマチは、全身の関節がとかされる病気です。関節は二つの骨を連結する部分ですが、骨と骨の間には軟骨と関節液があって、クッションの役目を果たしています。
この関節は、関節包という膜のようなものでつつまれていて、その内側は滑膜という線維性の組織になっています。滑膜は、洋服の裏地のような組織ですが、慢性関節リウマチでは、この滑膜がおかされます。
滑膜炎が生じると、白血球などの細胞が集まり、滑膜の細胞そのものも増えて、滑膜はヒダ状に増殖し、パンヌスという組織を形成します。
慢性関節リウマチでは、このパンヌスが、さまざまな物質を分泌しながら周囲の組織を溶かし、侵食します。軟骨を溶かし、骨を侵食し、ついには関節を変形させます。これが慢性関節リウマチです。
慢性関節リウマチはどのような人に多いか
慢性関節リウマチは、女性のほうが男性よりも2〜4倍もかかりやすい病気です。20〜70歳代までのどの年代でも発病しますが、もっとも発病しやすいのは、40歳代です。
慢性関節リウマチは出産後や更年期の前後に発病する場合も多く、発病には女性ホルモンのバランスが関係している可能性もあります。また、冬の発病が多いようです。
受診した患者さんの20％ほどは、近親者に慢性関節リウマチの人がいますが、高血圧や糖尿病などと比べても、慢性関節リウマチでは遺伝の関与は明らかに弱く、はっきりした遺伝性はないと考えるべきでしょう。
慢性関節リウマチの症状、治療
多くの場合、初めは関節の痛みや腫れがみられます。手や指の小さな関節からおこって手首、肩、膝、足首などの関節に痛みや腫れが現れます。また、慢性関節リウマチが長期にわたると、関節以外の症状が増えます。
中でも、肺繊維症による呼吸困難、アミロイドの蓄積による腎臓の障害は要注意です。慢性関節リウマチは難病のひとつとされていて、治療法はないとされていました。現代においてもそのはっきりした原因はまだ不明であり。完全に治す方法はありません。
しかし。慢性関節リウマチの活動をかなり抑えほとんど病気を忘れさせるほどの効果のある治療法も多く開発されています。